文化地理学

環境,景観,アイデンティティ,不平等

概要

『文化地理学』は,人文地理学の一分野である文化地理学の基礎文献となる本です。文化地理学の主題や考え方について,伝統的なものやそこから再考された新たな内容を中心に入門的な解説をした上で,具体的な地域を事例に,文化的な景観や言語や宗教などに関連したアイデンティティ,社会ー空間関係などの分析や議論を通じて人々と場所の関わりへの理解を深めていく構成になっています。

説明

原著

ウイリアム・ノートン (William Noarton)

カナダ・マニトバ大学環境地理学科元教授。専門は文化地理学,社会地理学,歴史地理学,地理教育,カナダ地誌

マーガレット・ウォルトン=ロバーツ (Margaret Walton-roberts)

カナダ・ウィルフレッドローリエ大学地理学環境研究学科教授。専門はジェンダーと移民,国際ネットワーク,移民集落

翻訳

山本 正三

筑波大学名誉教授。理学博士
1928年生まれ。1961年東京文理科大学卒業。筑波大学教授,筑波大学附属高等学校校長,獨協大学教授を歴任。

菅野 峰明

埼玉大学名誉教授。Ph.D.(地理学博士)
1944年生まれ。1977年ジョージア大学大学院博士課程地理学専攻修了。埼玉大学教授,放送大学埼玉学習センター所長を歴任。

田林 明

筑波大学名誉教授。理学博士
1948年生まれ。1975年東京教育大学大学院博士課程地理学専攻退学。筑波大学助教授,筑波大学教授を歴任。

菊地 俊夫

東京都立大学名誉教授・東京都立大学プレミアムカレッジ特任教授。理学博士
1955年生まれ。1984年筑波大学大学院博士課程球科学研究科地理学単位取得退学。東京都立大学教授,国土交通省審議会(小笠原諸島振興担当)会長を歴任。

目次

第1章 文化地理学序章

文化地理学の諸問題/本書の概要/背景の説明/文化とは何か/文化地理学のテーマ/この章のまとめ

第2章 文化地理学の伝統

3つの問題/人間と自然の分離/環境決定論/人間の自然利用/景観学派/全体論重視に向かって/この章のまとめ

第3章 文化地理学再考

空間分析/マルクス主義/人文主義/行動地理学/フェミニストの考え方/文化論的転回/表象の様式/研究の遂行/社会の研究/この章のまとめ

第4章 環境,倫理,景観

生態学:統合する科学/生態学アプローチの再考/環境倫理/この章のまとめ

第5章 景観の進化

内容の提示/文化の伝播/文化の接触と移転/景観の形成/過去の景観を想像する/この章のまとめ

第6章 地域的景観

文化地域とは何か/文化地域の形成/ホームランドとしての地域/現代世界の形成/世界の諸地域/現代の不平等な世界の文化地理学/この章のまとめ

第7章 権力,アイデンティティ,そして世界の景観

アイデンティティと権力との関係/人種についての思い違い/人種差別主義の現実/民族性と国民性/この章のまとめ

第8章 権力,アイデンティティ,表象

言説と権力/アイデンティティとアイデンティティの構築/アイデンティティと交差性/研究の実践,知識の生産および表象/この章のまとめ

第9章 場所で生活する:社会―空間関係

場所と人々を再考する/社会的なものと空間的なものとの再帰的関係/景観,場所およびアイデンティティ/社会-空間の研究一覧-場所とアイデンティティの関係の実例/この章のまとめ

第10章 文化地理学―継続と展開

文化景観/世界の文化地理/差異とアイデンティティ/過去は序章である/統合された人文地理学か/将来の展望

文化地理学書影
  • 発行日:
  • 判型:A5判
  • ページ数:560ページ
  • 定価:6,930円(本体:6,300円)
  • ISBN:978-4-8176-0525-2
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