大陸棚の定義について

大陸棚は,以前の教科書ではその範囲(幅)が水深−200mまでとの記述が多かったが,この頃は−130mと記述されている。これはなぜでしょうか?

これは学術上(地理学)の定義と法律上(条約)の定義が異なることと,海底調査の進捗に関係しています。

大陸棚は世界の大陸の周辺に普遍的にみられる浅い平らな地形ですが,学術上では大陸(または島の周囲)に隣接する地帯で,低潮線から大洋側の深い方に向かって傾斜が急に増大するところまでの海域をいい,傾斜が急に増大するところを大陸棚外縁といいます。世界の大陸棚の平均値は−130m〜−140mと 報告されているものが多いです。

以前用いられた−200mという値は,1958年の国連の第1次海洋法会議で採択された「大陸棚条約」に由来します。ここでは大陸棚を−200mまでの区域とし,天然資源の開発は−200mを越えて可能なところまでと定義していました。当時は技術的制約から海底開発の限度が−200mと考えられ,国際的に一律の値を決める必要がありました。また当時の調査レベルは100m間隔の等深線を描くのがせいぜいであり,−200m等深線が−130m〜−140mの外縁線と近似していることから,便宜的に−200mの値を採用していました。

現在は,「国連大陸棚限界委員会」が,以下の手続きをもとに,各国の大陸棚の限界について画定作業を進めています。

  1. 国連海洋法条約は,領海の基線から200海里までの海底を大陸棚とするとともに,大陸棚の縁辺部が200海里を超えて延びている場合,200海里を超えて大陸棚を設定できると規定している。
  2. 沿岸国が200海里を超える大陸棚を設定しようとする場合は,200海里を超える大陸棚に関する情報を大陸棚限界委員会に提出する。
  3. 大陸棚限界委員会は,同委員会において採択された「科学的・技術的ガイドライン」に従って,沿岸国が提出した情報を検討し勧告を行う。沿岸国がその勧告に基づいて設定した大陸棚の限界は,最終的なものとし,かつ,拘束力を有する。