いとちりの防災教育にGIS(1)—ハザードマップを自作する—基盤地図情報の利用

こんにちは。今号から3回にわたって,デジタル地図を使った防災教育の教材を作ります。新しい学習指導要領では,GISの必修化と(地理A・B)新単元「自然環境と防災」(地理A)が登場します。GISと防災を積極的に活用して,「地理を学ぶ意義」を地域にPRいただければと思います。
今回は,国土地理院が公開している「基盤地図情報」を使って,身近な地域の標高区分図を描きます。データの加工に使うソフトは,「地図太郎」(DL版で¥3,500。2週間利用可能な試用版あり)です。

1.標高データの入手

図1

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まず,インターネットで「基盤地図情報」と検索して,サイトにアクセスして。標高数値標高モデルの「JPGIS(GML)形式」をダウンロードします(図
1)。標高メッシュは,市町村単位ではなく,メッシュコード単位でダウンロードするようになっています。自分が欲しい場所のメッシュコードを知るには,「地図太郎」で,「表示」から「標準地域メッシュ」を選び,メッシュコードが出ますので,それでコードを確認します(図2)。

図2

図2

2.地形図に重ねる

図3

図3

図4

図4

図3は,神戸市の海岸部の標高メッシュ読み込んだところです。この上2万5千分の1地形図「ウオッちず」を重ねることができます(図4)。できた画像を保存して「Google Earth」の上に重ねることもできますので,鳥瞰図にして見せることもできます(図5)。

図5

図5

3.地図を持って外に出よう

写真1

写真1

写真2

写真2

写真1・2は,神戸市東灘区を流れる石屋川の堤防で撮ったものです。児童公園の景色と不釣り合いな太い鉄のパイプ群は,阪神大震災を機に堤防内に設置された耐震型の防火用水槽の消火栓です。天井川地形で,なおかつ水がほとんど流れていないため,震災瓦礫が狭い路地を覆ってしまったため消火活動が思うように進まず,多くの犠牲者を出した事は周知のとおりです。土手に据えられた消火栓には,二度と同じ轍を踏むまいという人々の強い決意を見て取ることができます。このように,実際に足を運んで見たこと感じたことを盛り込んで行くことで,より「地理らしい」防災教育の教材を作ることができるのではないでしょうか。

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(静岡県立吉原高等学校・伊藤 智章)