極圏・雪氷圏と地球環境/二宮書店

二宮書店公式ブログ
トップページ>刊行書籍一覧>極圏・雪氷圏と地球環境

« コンパクト地図帳 2010/2011 |トップページ| より良い教科書を目指して,教科書の内容を更新・改良しました。»

極圏・雪氷圏と地球環境

劇的な変動を示す世界の雪氷圏
各界の最前線で活躍する執筆陣による警世の書...ついに発刊!!

『極圏・雪氷圏と地球環境』は,北極海の海氷縮小,山岳氷河の消長など極圏・雪氷圏に関わる現在進行中の諸現象について,長期的な環境変遷を視野に入れながら多面的に考察した本です。

極圏・雪氷圏と地球環境

大学・企業関係者の方の一括採用に関するお問い合わせは,直接弊社まで電話にてよろしくお願い致します。

遠藤 邦彦・山川 修治・藁谷 哲也(編著)

A5判/243ページ/カラー口絵4ページ/索引8ページ

2010年3月3日発行

3,800円(税別)/3,990円(税込)

ISBN978-4-8176-0339-5 C3040

amazon.co.jp bk1 Livedoorブックス
ブックサービス 紀伊國屋BookWeb 楽天ブックス
jbook boople 7andy

iconicon

本書の紹介...構成とその特色

第I章「長期的視野で探る極圏・雪氷圏の環境変遷」では,視座を第四紀に置くが,その第四紀自体が気候の寒冷化と密接な時代であること,その環境変遷の実態を北大西洋,南極大陸沖海底コアの氷河性堆積物,有孔虫,磁場変動特性などの解析から,詳細に探れる段階に入ったことが示される。

太陽活動は,2007~2009年に最近200年間で最長の極小期間を記録した。その気候への影響など今後の動向が注目される。これに関する解説は状況の推移を見極める必要性などから他書に譲るが,太陽と地球との関係で非常に重要なミランコヴィッチ・サイクルについては本書で詳しく論説されている。

最新の南極氷床コアの解析結果については,氷期サイクルと風速変動に焦点をあてて解説されており,顕微鏡レベルの精査から地球レベルの環境推移を解読する醍醐味に接することができる。

第II章「山岳氷河の消長」は,本書のなかでも比較的大きな比重を占めていて,その変動の地域性が注目されよう。それぞれの研究者がヨーロッパ,内陸アジア,パタゴニアなどにおけるフィールドワークと衛星データ技術導入によって,氷河の変遷を纏め上げており,貴重な資料といえる。長年,スイス工科大学で学術研究活動を展開されてきた大村 纂教授にも執筆いただき,貴重な写真を含む多彩な構成となったことは,本書にとって誠に幸いなことである。

地球温暖化の渦中にあって,山岳部に生じた氷河湖の決壊による下流域での洪水が,重大な緊急課題となっている。これに関連して,現地調査の最新情報も含めた展望が記された点も本書の特徴といえる。

第III章「永久凍土と積雪変動」は,知られざる地下の雪氷圏変動の実態を解き明かしてくれる。アラスカ大学で学術研究を推進しておられる福田正己教授によるアラスカの永久凍土の彙報,ならびに,新進気鋭の研究者によるモンゴルの永久凍土の報告は,実地観測や如実な景観写真に基づく迫力ある論説となっている。

第IV章「海洋と気候の変動から探る極圏・雪氷圏」では,海洋大循環と気候変動の関係が詳しく述べられている。また,ノーベル平和賞を受賞したIPCC(2007)に関しても雪氷圏関係を抽出して端的に提示され,温暖化時の地球像の把握に有効であろう。

近年,気候変動で注目される「北極振動」については,ユーラシアの気候との関係に焦点をあて,わかりやすく解説されているし,トピックスとして記載された「南極振動」も比較考察に有益であろう。また,南極の気象で最も特徴的な接地逆転層の解説も極圏の環境を理解するのに役立つと思われる。加えて,地球温暖化の象徴的現象ともいえる2007年の北極海海氷の史上最縮小については,その過程を明らかにするとともに,広域の天候へ及ぼす影響に言及している。

本書は概略以上のような構成となっており,紙面の都合などで極圏・雪氷圏関係の全てを網羅することはできなかった。2007年秋に開催された同テーマのシンポジウムでは講演いただきながら,今回多忙で執筆されなかった方々もおられるので,その要旨集(日本大学文理学部地球システム科学科編,同学部自然科学研究所の経費による)も参照されたい。そのような事情は幾分あるものの,極圏・雪氷圏にかかわる諸現象について,長年の変動をしっかり視野に入れつつ,近年の動向に注目して,環境変遷や現在進行中の主要な諸問題を多面的・補完的に取り扱った点が本書の特色といえる。

地理学・地学・環境科学を指導されている学校の先生方,環境政策などに携わっておられる関係機関の方々,さらに,地球環境に関心をお持ちの広範な方々に読んでいただければと思う。そして,地球環境変遷の実態,地球温暖化の真の姿,防災や減災に関する最新情報を,環境教育活動や環境保全対策等に際して活かしてくださることができれば,誠に幸甚なことである。

遠藤邦彦・山川修治・藁谷哲也
(『極圏・雪氷圏と地球環境』はじめに―より)

目次

第I章 長期的視野で探る極圏・雪氷圏の環境変遷...1

§I―1 極圏・雪氷圏と地球環境科学への誘い(遠藤 邦彦)...2
1.はじめに 2.第四紀の始まりを巡って―259万年前の意味― 3.第四紀の気候変動と氷河の消長 4.アジア大陸内陸の山岳氷河と沙漠環境 5.温暖化,氷河・氷河変動,海面変動および気候変動,環境変動のリンケージ
§I―2 南極大陸沖深海底堆積物にみられる磁気的特性の変動(松岡 東香)...16
1.磁気に関する分析の特徴 2.堆積物の磁気情報がもたらすもの 3.南極大陸沖深海底堆積物の磁気学的考察
§I―3 ミランコヴィッチ・サイクルと氷期サイクル(伊藤 孝士)...27
§I―4 南極氷床コアによる氷期サイクルと風速の復元(藤井 理行)...36
1.はじめに 2.南極ドームふじ 3.氷期サイクルにおけるダスト濃度の変動 4.海面変化に伴う大陸棚の露出 5.過去13万年の風速変動の復元 6.氷期サイクルにおける風速変動の復元 7.おわりに

第II章 山岳氷河の消長...51

§II―1 最近の山岳氷河変動の意味するもの―消滅する氷河と拡大する氷河湖―(岩田 修二・小森次郎)...52
1.最近の山岳氷河の縮小と氷河湖の拡大 2.気候メータとしての氷河(氷河変動と気候変化との関連) 3.小氷期以来の氷河変動とその原因 4.赤道高山とアジア高山の氷河変動の実態 5.氷河縮小の影響―海面上昇への影響そのほか 6.氷河縮小の影響―拡大する氷河湖と決壊洪水の危険 7.結論的まとめ
§II―2 ヨーロッパ=アルプスにおける氷河の消長(大村 纂)...79
1.概況 2.氷河の規模と変化率 3.氷河観測の歴史と現状 4.観測に基づく氷河の変化 5.将来の予測 6.あとがき
§II―3 カラコラム山脈とパミールにおける氷河消長の特性(藁谷 哲也)...90
1.地形と氷河 2.気候条件 3.更新世後期の氷河変動 4.19世紀以降の氷河変動 5.気候と氷河の変動
§II―4 パタゴニアにおける氷河の消長(安仁屋 政武)...106
1.はじめに 2.パタゴニア氷原の概略 3.パタゴニアの氷期 4.パタゴニア氷原の1945年以降の氷河変動 5.氷河後退の要因 6.今後の変動予測
§II―5雪氷圏における災害とこれからの問題(小森 次郎)...128
1.はじめに 2.山岳氷河での雪氷圏の災害事例 3.山岳氷河の崩壊 4.国内の雪氷圏の災害 5.おわりに

第III章 永久凍土と積雪変動...145

§III―1 温暖化と永久凍土の融解(福田 正己)...146
1.はじめに 2.エドマ層の側方熱浸食 3.活動層の厚み増加 4.永久凍土内の部分融解層(タリクtalik)の形成 5.長期予測による不連続永久凍土地域での永久凍土消滅 6.永久凍土融解と社会基盤 7.終わりに
§III―2 シベリアとモンゴルの永久凍土(飯島 慈裕)...165
1.水循環変化に伴う東シベリアの永久凍土環境の変化 2.モンゴルの永久凍土
<トピックス➀>ユーラシア積雪の経年変動(河合 隆繁)...174
1.はじめに 2.使用したデータ 3.年平均積雪域の経年変動 4.降雪期と融雪期の比較 5.まとめ

第IV章 海洋と気候の変動から探る極圏・雪氷圏...179

§IV―1 極域海洋と海洋大循環(花輪 公雄)...180
1.はじめに 2.海洋大循環 3.海洋大循環と地球の気候 4.北半球の極域海洋と海洋大循環 5.南大洋と海洋大循環 6.地球温暖化と極域海洋 7.おわりに
<トピックス➁>IPCC第4次報告書にみる将来の極圏・雪氷圏
全球気候モデルによる温暖化予測(加藤 央之)...193
1.積雪面積 2.海氷 3.氷河・氷帽 4.グリーンランド氷床・西南極氷床 5.永久凍土
§IV―2 北極振動とユーラシアの気候変動(山崎 孝治)...199
1.ユーラシアの気候 2.北極振動 3.北極振動とユーラシアの気候 4.北極振動の季節変化 5.冬のNAOが夏のNAMに影響する 6.冬・夏リンクの太陽活動による変調 7.環状モードのトレンドと地球温暖化 8.まとめ
<トピックス➂>南極振動とENSO(山崎 孝治・宇田川 佑介)...216
§IV―3 南極内陸部の気候と逆転層(佐野 清文)...220
1.はじめに 2.南極の地形 3.極域の放射収支 4.逆転層 5.極渦とカタバ風 6.まとめ
§IV―4 2008年中国中南部における記録的豪雪のメカニズム
―2007年北極海海氷縮小との関連も含めて―(山川 修治)...231
1.背景 2.下層天気図からの検討 3.北半球高層天気図からの検討 4.北半球半旬平年偏差図からの検討 5.積雲発達度からみたメカニズム 6.海面水温(SST)からみたメカニズム 7.北極海の海氷縮小に関連したメカニズム 8.むすび

著者の紹介...五十音順,*は編集委員

安仁屋 政武...筑波大学名誉教授
飯島 慈裕...(独)海洋研究開発機構・研究員
伊藤 孝志...国立天文台天文シミュレーションプロジェクト助教
岩田 修二...立教大学観光学部教授
宇田川 佑介...北海道大学大学院環境科学院地球圏科学専攻博士後期課程3年
遠藤 邦彦*...日本大学文理学部地球システム科学科教授
大村 纂...スイス国立工科大学(E.T.H.)教授
加藤 央之...日本大学文理学部地球システム科学科・教授
河合 隆繁...東京都立成瀬高等学校教諭(理科)
小森 次郎...名古屋大学大学院環境学研究科特任助教
佐野 清文...日本大学文理学部地球システム科学科非常勤講師
花輪 公雄...東北大学大学院理学研究科・教授・理学研究科長・理学部長
福田 正己...アラスカ大学国際北極圏研究センター教授
藤井 理行...国立極地研究所所長
松岡 東香...筑波学院大学講師,専修大学兼任講師
山川 修治*...日本大学文理学部地球システム科学科・教授
山崎 孝治...北海道大学大学院地球環境科学研究院・教授
藁谷 哲也*...日本大学教授

トラックバックURI

このエントリのトラックバックURI:
http://www.ninomiyashoten.co.jp/cgi-bin/mt-toba.cgi/357

二宮書店の本でアフィリエイト&トラックバックしませんか?

コメントする

(コメントは承認後に表示されます。)


画像の中に見える文字を入力してください。

▲ページの先頭へRSSフィード RSSフィードお問い合わせ

Copyright © 1974-2010 二宮書店(Ninomiya Shoten Publishers)
全てのコンテンツの無断転載を禁じます。【詳細について